前回のお話はコチラ▼
前回は元夫との出会いから日常のエピソード(アスペあるある)を書きました。。
この記事を書きながら、そもそも付き合う前の段階でのやり取りどうだったっけ?と振り返るも感触は覚えてる。
お互いのことを改めて自己紹介した時の文章が、文の上手い下手ではなくて、言い回し・表現がちょっと独特というか不思議だった印象は覚えてるんですよね。
今回は、発達障害当事者との結婚生活のエピソードと夫婦関係についてご紹介。
ざっくり説明すると、
●同じ話題を話してるつもりなのに、話がずれてることがある。
●妙に丁寧な言い回しをする時がある。
●難しい言葉や漢字表現、英語表現を好む
●ケンカしてるわけでも無いのに、孤独感を感じたり、素っ気ないことがある。
●コミュニケーションの歯車が時々かみ合わなない実感がある。
●ひどく繰り返される言葉がある。
パートナーに対して、こんな感じの心当たりがある人、そしてそれにちょっとモヤッとしてたり悩んでるなら、ぜひ読んでほしいなと思います。
これから書く内容に、お相手の方、もしくはご本人が当てはまらないことを切に願います。
初対面からちょっと違和感
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さて、では、2号との出会いから書いていきます。
私と2号との知り合うきっかけはSNSでした。
この記事を書きながら、そもそも付き合う前の段階でのやり取りどうだったっけ?と振り返るも昔で思い出せない…。
けど、感触は覚えてる。
お互いのことを改めて自己紹介した時の文章が、文の上手い下手ではなくて、言い回し・表現がちょっと独特というか不思議だった印象は覚えてるんですよね。
馴れ馴れしい?
SNSでやり取りしていく中で、ご飯食べに行きましょうということになり、寒い時期に約束をして、待ち合わせはお店近くの駐車場でした。
食事の前に、ちょっと時間に余裕があって雨の天気だったので2号の車の中で少し話をしたんです。
距離が近すぎる
私は助手席に乗り込み、色々喋ってる中で2号は手で私の膝をポンポンとしたんです。
いやらしさは感じなかったけどベタベタ触ってくる感じ、初めて会ったばっかりでまだ30分もたってないくらいの、まだ今からご飯というタイミング。
「距離が近いな」
と思ったのは今でも鮮明に覚えています。
発達障害の「ハ」の字も知らなかった当時、初対面でオシャレで、さわやかイケメンで、乗ってる車も外国メーカーで、愛想よく物腰も柔らかく、印象悪くはないわけで。私は当時この2号の距離の近さを第一印象で「人懐っこい人だな」と思いました。
だけど発達障害の知識を少なからず付けた今、離婚して思い返すと、初対面のまだ顔見て30分もたたない相手に、ベタベタ触ってくる辺りとか、アスペルガーの特性、他人との距離がわからない特性は出てたんですよね…。
普通は発達障害の知識もそんなにないから気づくわけもないんですけどね。
大人のアスペルガーは、装えるからスグに見抜けない
大人になるまでの経験を持って「普通の人」を装えるので、見抜くことは難しいです。
発達障害ではない=定型発達のシンプルに個性的な人、クセの強い人かもしれない。
育った環境のせいで、アスペルガーのような特徴を見せるも、本人の自己防衛的結果からくるものかもしれないし。
空気読めない人とかたくさんいるし、いくつかの似た特性だけですぐ判断できるような事でもなく。
装ってるときは少なからず当事者も緊張感をもってるので、特性も出にくいのではないかと、2号と生きてきて思いました。
私は彼と再婚して一緒に暮らし始めて3年目あたりには、「おかしい」と思う違和感を抱いていました。
装う精神力は、個人差があると思いますが、アスペルガー症候群であるならば、ずっと装っていくことは無理でいつか必ず、現れます。
生きづらさから体得した当事者の処世術
ASDやADHDなどの発達障害を持つ人は、失敗体験が多く、とにかく叱られ・怒られながら生きづらさを感じて過ごしてきてます。
誰だって、怒られて、責められるのは精神的にしんどい。
結果、自分を守る・逃げる・避けることを経験から身に着けていく。
失敗したくない、責任を取りたくない、だから「決断」は人にゆだねる。
だから、家庭内でちょっとした「決定する」ことは、私が決めることが多かった。
旅行の予約とか、イレギュラーなことには弱いので私が動いて。
(かといって仕事ともなると、やらざるを得ないからできないわけじゃないけど、他人へ意見を仰ぐことが多く、決め手となるのは他者の意見と、自分のやりやすさで決めている気もする)
発達障害の人は、責任のあること=失敗することをおそれて極端に避けます。
2号の場合はもう大人で、役員の一人で、部下もいて、ビジネス上失敗できない立場にある人でした。
2号の場合、立場もあって、発達障害の人が不得手とする、傾聴、相手への配慮、赤字を出さないための損得勘定=先を想定して行動する事を切り替えられてました。消耗もすごかったようだけど。
そこで彼が自分の立場も踏まえての身に着けた処世術であり護身術だったんでしょうね。
そこで疑問が湧く。。。
「でも相手への配慮や傾聴が切り替えられるなら克服できるんじゃないの?」
答えは「いいえ」。そしてそれが衝動的・勢いである自覚はほぼない通常運転の一部なわけです。
本人の意識で制御できない。だから、発達「障害」なんです。
そしてアスペルガーは知性は普通にあるどころか、思考する内容にはムラこそあれど、計算高ささえ持ち合わせているのです。
だからアスペルガーは出世しやすいと言われるのも、傍から見れば一見冷酷に見える実は空気読めない部分と計算高さから、変わってるけど仕事ができる人像を作るんだろうと思います。
私の中では、この彼の処世術を
「ビジネスモード」
と言っていました。
2号は、社会の中でビジネスモードを酷使した日ほど、顔色も蒼く、ひどくゲッソリとやつれて帰宅していました。
表向きは、愛想いい営業マンだったかもしれませんが、仕事上の日常での彼自身の消耗は普通の人の何倍もしんどかったんだろうと思います。
失礼がないように、失敗がないように、失敗の多い自分を自覚はしていて、その分失敗をしないように欠けている部分を自分で何とか乗り越えようと毎日毎日装っていただろうと思うんです。
結婚して数年後、本来の素顔が出てくる
アスペルガーの人は会社など外では問題がない・見えにくい場合もあり、そのパートナーの苦しみが周囲に理解されづらい。
実際に数年一緒に暮らしてみないと分かりません。
「リリィの旦那さん、面白いわよね~」
実際何度も言われたことあります。
私も最初は「面白い人」って思ってたもん!!
でも、結婚して数年後、家がリラックスできる場となってるのはいい事なのに、外で気を張っている分、家庭内で緊張感がなくなり、反動で特性がより強く出てしまうことがあるそうで、実際うちはこのパターンでした。
結婚と大体同じころに、職場での立場もさらに昇格し、ますます責任ある立場になりました。
職場での重責もきっとこの反動に大きく影響を与えていたと思います。
先にも書きましたが、アスペルガーは「他人に寄り添う事」ができません。
興味がある事:無い事の関心の差が100:ゼロです。
その「ゼロ」も、「あ、忘れてたや~」ってのではなくて、「え?聞いたことない」の事案の存在すら認知できず、記憶丸ごと欠損レベル。
そして、拘りは「変えられない」=不可能のレベル。
でも、結婚して数年まではそれらを感じることはありませんでした。
表現に癖がある
LINEで、時々取引先に送った??というようなとても丁寧なお堅い敬語になったりします。それは夫婦だった時からそうでした。
怒ったら敬語になる人っているでしょ?
それはそれでイヤだけど、そうではなくて。
たとえば、喧嘩してるわけでも何でもない平常時に、私が2号に対してLINEでお願い事したりすると
「承知しました」
と帰ってきたり。
これがわざとでもなく本人もフラットに返事してこれで返ってきてました。
また難しい話や、難しい言葉が好きでよく知ってるんですが、博学な感じの表現ではなく、好んで使っている感じは特性の特徴の一つだったりします。
カサンドラ症候群の発症
彼は彼なりの表現で、愛情を伝えてくれていました。
愛してくれていることも私も分かってはいました。
そして私も私なりの表現で、彼を想って伝えてきました。
だけど、彼の段々じわじわと見えてくる本来のニュートラルな彼を知るほどに、一方通行なコミュニケーション、気持ちを自分が伝えたいように相手に伝わらず、感情を通わせることができず、そしてそれを理解して欲しくて夫に伝えても、スキンシップも成立せず、目の前に夫がいながら、とてもとても遠くに感じる孤独な日々でした。
だけど、これは彼自身にもどうしようも無いことで、それを理解する・受け入れるまでに私はとても時間がかかりました。
同時に彼はきっとニュートラルな部分を見せられるまでに私に対して彼なりに合わせて暮らしてきてくれたんだろうな、とは思います。
同時に、苦しかっただろうな、窮屈だっただろうな、と。
当時はそんな事ないよ、幸せだよ、とも言ってはくれてましたが、発達障害を調べるのに色んな書籍や情報を読みあさり、彼の生きづらさや、色んな背景が見えてもきたし、同時にその妻として寄り添うことの難しさを知ることにもなりました。
発達障害は病気では無いし、治そうとして治るものでもない。
そうなると、その周りにいる合わせられる人達が特性に合わせて生きていくしかないわけです。
そして、カサンドラ症候群を発症したのです。
カサンドラ症候群とは、パートナーや家族など身近な人に自閉スペクトラム症(ASD)があり、コミュニケーションがうまくいかず、またその困難さが周囲に理解されないことによって、身体や精神面に不調が現れている状態のことです。
カサンドラ症候群とは?症状や原因、治療や対処法についてわかりやすく解説します
カサンドラ症候群は、通称であり正式な疾患名ではありません。
そしてシンプルにいうと、うつ病になりやすい人がカサンドラにもなりやすいです。
カサンドラ症候群になりやすい人は、性格的に、真面目、几帳面、完璧主義、忍耐強い、面倒見が良いなどの事例が多いようです。 自閉スペクトラム症(ASD)の発現は男性に多いため、パートナーとなる女性側にカサンドラ症候群の発生割合が高いといわれていますが、必ずしも女性だけがカサンドラ症候群になるとは限りません。
産経新聞の記事にもありました。
夫と意思疎通ができずに妻が陥る「カサンドラ症候群」 発達障害の夫に悩み、鬱にも(1/4ページ)
発達障害の一つであるアスペルガー症候群の夫やパートナーを持つ女性が、コミュニケーションがうまく取れずに苦しむ「カサンドラ症候群」への関心が高まっている。悩み…
アスペルガーのパートナーと長く結婚生活を過ごしている方もいらっしゃいます。
離婚だけが選択肢ではありませんが、発達障害のあるパートナーと共に生きることは、共感を得ることがものすごく難しく、私たちの場合は、折り合いのつかない所が多くなり、なおかつ私は元夫のアスペルガーの特性に寄り添う努力をしてカサンドラ症候群になりました。
離婚を決めたころ、心療内科で適応障害の診断もつきました。
子供を連れての再婚だったので、これ以上は私の精神が持たない、子供のためにも私がつぶれるわけにはいかない、そう判断して私から離婚を切り出しましたが、離婚を切り出されたことで元夫もうつ状態になり、別居後一時期ふたりして抗うつ剤をそれぞれに飲んでいる状況にもなりました。
発達障害の当事者との男女の未来
先にも書きましたが、私は離婚したけど離別だけが選択肢ではありません。
別居婚をすることで、程よい距離感で仲良く過ごせることもあるかもしれません。でも子供が生まれたりとか状況の変化を考えると、ずっとは難しいと思います。
アスペルガー症候群の特性が強くない場合には、フォローしながら結婚生活もできるかもしれませんが、一番信頼したい相手が自分に寄り添えない場合は、やはり最悪の結果を招く可能性は高いと思います。
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